tabuniidaの注意散漫

twitterで書ききれない長文を書く、予定

そこに魂(ゴースト)はあるのか (ちょい追記

実写版の「ゴーストインザシェル」(以下実写版)観ました。
観たから言うが、この「実写版」の「攻殻機動隊」という作品を読んで出した解釈について、いや違うだろと言いたい。だから書く。
以下ネタバレで書くので許してくれ。

 観終わって最初に浮かんだ言葉が「仏作って魂入れず」。

で、何でこうなったのかとあれこれ思案したところ、物語の中心の【対象】が根本的に違うんじゃねえかと。

筆者の解釈は「攻殻機動隊は【魂の在り様】が物語の中心であり、それを素子達キャラクターが語るもの」と思っていますが、
実写版の解釈は「少佐が物語の中心であり、少佐が義体化した理由は実は陰謀だったんだよ! 義体化したら【魂】がバグっぽい挙動するし邪魔だから消そうとする組織と戦う」という、
おい、ちょっと待てその解釈。実写版制作陣はそれで良いんだろうが、一観客としてはそれ観たくねえよおい。

劇場版の攻殻機動隊の押井監督が「僕に言わせれば相当奇妙な映画だと思う」

http://www.gizmodo.jp/2017/04/oshii-mamoru-interview.html


と言っていたが確かに奇妙だよ。
押井監督は原作付きの場合、お話の根幹はズレない人(ただ原作者に怒られたビューティフル・ドリーマーがある。あれは【押井の映画】であって【うる星やつら】ではないらしいが…)
なので、だから劇場版の攻殻機動隊はきちんと【魂の在り様】を描いている。イノセンスもそうだと思っていて、殻に中の魂(ゴーストインザシェル)であるバトーと殻のない魂(シェルアウトゴーストと言ったのは伊藤計劃だったか)である素子の対比だと
テレビ版とアライズは違う。でも何故かあれは攻殻機動隊であるというツボは外していなかった。
ちょっと調べると押井監督が実写版の監督に「あんたのオリジナルをやんなさい」と言ったらしいのでオリジナリティを発揮したところ、観客の求めているものではなかったというディスコミュニケーション。その果てに戦争が起きるのだ(待て、と言いたいが本件界隈の荒れっぷりを見るに戦争はこうして起こるのだとか思ったり思わなかったり)。

 

最後にちょっとだけいいところ、というよりまあ確かにそういうのは考えるよね、と思ったところ。
実写版は世界初の義体化の成功例としての少佐があり、その前にかなりの失敗があったという点を描いていたのはいいと思います。
でもそれを中心しちゃうのは実写版監督のオリジナルでやろう。それに魂を入れよう、今度こそ。

蛇足
吹き替えは4DX主体で3200円かかりました。声優陣は皆さんいい仕事です。
たけしは、いつか「どっきり」って書いたプラカード出すのかワクワクしてましたが出しませんでした(当たり前だ)。
唐突の桃井はるこは笑った。すっげえわらった(心が)。でもハリウッドが撮るとあの人の独特の「間」(最大の魅力ですよね、ね!)が無くてふつーおばちゃんだった。そういう演技だったのかもしれませんが。
スカヨハさんの無機質な感じは義体っぽく演じててよかったし、私は好きです(制作陣よりか素子を理解している、と感じました)。非難すべきは、完成版見てゴーサインだした大人の人たちの責任です。

追記
感想見てきたけど、まあ無難という評価ばかりだった。発狂しているのは拗らせたオタばかりかもしれん…
私はオタですが、発狂はしていません。いい映画か、と問われると「私の望んだもんじゃなかった」というだけです。